暦は漢字で書かれた「
陰陽寮によって作られた暦は十一月一日に天皇に献上され、それから諸官庁に配られた。貴族達はそれを書写して用いた。やがて仮名文字が発明されると仮名暦が作られるようになり、鎌倉時代ごろには木版刷りの仮名暦が作られるようになった。普通、仮名暦はひらがなであるが、カタカナ暦も少数残存している。
現存する最古の具注暦は正倉院の天平十八年(746)の暦断簡とされてきたが、近年、更に古い木簡の具注暦の断簡が出土している。仮名暦の古いものとしては宮内庁所蔵の嘉禄二年(1226)の書写暦が知られている。栃木県真岡市荘厳寺には仮名暦の3年連続の暦が残されており、そのうちの康永四年(1345)の版暦は完全な形の暦として残存しており、今のところ最も古い。
国立天文台所蔵の具注暦は断簡で、裏打ちを透かして10日分が見える。仮名暦は筆写暦で巻子。年代的には新しい。