銀河は天の川とも呼ばれ古くから親しまれてきた。「天河」「天漢」とも云う。これらの言葉の由来が中国、游子六著『天経或問』「天漢」の章に書かれている。「天漢」「天河」は中国の大河である黄河の影が天に映っている様子であるとか、河の水の気が発せられて、清い精が天にのぼり集まって浮かんでいる状態を表すとか伝えられてきたが、望遠鏡を覗いて天河を見ると、小さな星が多く集まっているところであるのがわかると説明している。また、同じような言い伝えは他の書物にも書かれていると紹介している。英語では天の川はMilky Wayとも呼ばれるが、この名前はギリシャ神話に由来する。他にも、世界のあちこちで、神話や民話と結びついた言い方がある。
『天経或問』は、江戸中期、中国から輸入された天文学、地理・気象が書かれた書物。西川正休 (1693-1756) により訓点がつけられ、一般天文学書として江戸中期から後期まで広く読まれた。著者の游子六(游藝)は中国明末から清初頃の
著者名不明。奥書に「寛政戊午(十年(1798)) 仲秋 長州赤馬関永野救謹跋」とあり、あとがきを書いた永野によって刊行されたのかもしれない。巻頭に、中国の古い星座である
著者、出版年ともに不明。星学教導の図で、軌道図や「オーラリーの器械」に海王星が含まれていることから、19世紀後半以降のものと思われる。提示した図は「天球地球図」と題されており、地球上から天象を見ている図「仰観天象」で、見ている先には銀河がある。第25回展示も参照。
『天経或問』が出版されると、それを研究・校正するものや反論するものも現れた。たとえばこの本では、『天経或問』の星図は誤りがあるのでそれを正すとして、「図巻下」でそれぞれの図に解題、解図をつけ、改正図を付している。また、保井(渋川)
この図は長久保赤水著『天文星象図解』著とセットで作られたらしいが、図には著者名、発行年などは何も書かれていない。