貴重資料展示室
第37回常設展示:2007年10月27日〜2008年3月22日
測量機器と天文
離れた物の角度を測る測量機器と天文とのあいだには密接な関係があった。西欧では遠洋航海が盛んになると、船の位置を知るための天文観測技術が発達し、18世紀頃に八分儀、六分儀などの機器が開発された。やがてその技術や器物は日本に伝わり、測量の解説書にも採り入れられた。日本では検地や築城、治水などの測量は、昔から中国伝来の技術を用いてきたが、伊能忠敬の高精度な日本地図が描かれるには、それに加えて天体観測を用いた測量が必要であった。
『測量集成』 福田理軒著 安政二年(1855) 刊本11冊 豆本
測量全般のほかに、異船長短表 (外国船の区別)、八線表 (三角関数表) なども書かれている。測量機器としては、経緯儀、量地儀などの測地用のものから、卦限儀 (オクタント:八分儀)、紀限儀 (セキスタント:六分儀) など天文航法用の機器まで構造、使用法が書かれている。
測量三游儀とあり、その部品と測量用具の図
『図解量地指南』 村井昌弘著 前編3冊 享保十七年(1732)、後編5冊 宝暦四年(1754) 刊本8冊 荅北文庫印
測量法について、目的の見方や姿勢の注意、用具:量盤 (見盤)、渾發、定規などについても書かれている。
『廻船用心記』 吉村海洲著 嘉永七年(1854) 刊本1冊
算術、天文に拘らず、航海用の道具である星度器 (四分儀) と方鍼器 (方位磁石) の使い方をはじめ、北斗七星から時刻を知る方法、各地の潮汐、漂流したときの心得などもある。
『量地圖説』 甲斐駒蔵著 嘉永五年(1852) 上・下刊2冊
画に葛飾為齋 (葛飾北斎の門人) の名がある。全方儀、廣方儀などの簡単な測量機器の構造と、それを使っての測量法を詳しく解説している。