暦Wiki
天文航法 (Celestial navigation)†
- 船の現在位置を知らなければ、目的地にたどり着くことはできません。
- 海上には場所を示す標識はありませんし、陸から10kmも離れれば、陸地は見えなくなります。
- 唯一の目印は太陽・月・惑星・恒星といった天体になります。
- 天体の観測によって、船の位置を知る航海法を天文航法といいます。
- 天文航法では一般に天体の高度を観測します。
- 方位は基準となるものがないので、困難です。
- 高度は水平線を基準に、六分儀 (sextant) で観測します。日が沈んでもしばらくは明るいので水平線を確認できますが、暗くなりすぎると確認できなくなります。この限界の目安が航海薄明です。
- 18世紀中ごろに六分儀が発明されるまでは航海用アストロラーベなども使われました。しかし、船は常に揺れていますので、水平あるいは垂直を確保するのは困難です。
- 六分儀は天体と水平線を両方捉えてその間の角度を測りますから、船が揺れていても高度を正確に測定することができます。
- 天体の位置や時刻を知っている必要があります。
- 航海暦 (The Nautical Almanac)
- 航海暦 (天測暦、天測略暦)
- 海上保安庁海洋情報部 が刊行していた航海暦で、2022年版を最後に廃刊 されました。
- 天体のE,dを掲載するなど、計算の省力化が図られています。
- なお、Eとは太陽の場合は均時差=Equation of Timeに12時間を加えたものであり、ここからEという略称になったと推察されます。秋吉利雄元海軍少将の著書「航海天文学の研究」(恒星社)によれば、昔は「赤緯・赤経・時差率(均時差)」を載せていたが、筆者の発案により昭和8年から「E,R」に置き換えたそうです。dはもちろん赤緯=declinationに由来します。
- 時計 (時辰儀=クロノメーター、水晶時計、無線報時)
- 天測計算表、関数電卓
- 天測計算表は天文航法に必要な計算を表にまとめたものです。電卓なしには難しい計算も、あらかじめ計算された表を引くことで省力化することができます。
関連ページ†
Last-modified: 2023-08-22 (火) 19:25:14