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貴重資料展示室

第09回常設展示:1994年4月10日〜1994年8月2日
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彗星(1)

1992年12月に見られたSwift-Tuttle彗星は周期彗星であり、その前は1862年に見られた。平成6年の『理科年表 [外部サイト]』によれば、近日点距離 0.958 au、遠日点距離 51.7 au、離心率 0.964、軌道傾斜角 113.4°である。

彗星は古くから、その姿の様々な様子から、彗・孛、旗雲、白気または客星と記録されている。しかし、科学的な観測がされるようになったのは天明二年(1782)に浅草天文台が出来た後で、観測には地平経儀、象限儀などの儀器が用いられた。ここに展示したのは観測記録以外の彗星記録である。

安政戊午仲秋聞書(あんせいぼごちゅうしゅうききがき)安倍晴雄(あべはれたけ)ほか 写本1冊

この本の一節「勘申彗星出現之事(かんじんほうきぼししゅつげんのこと)」には、19世紀中の最も美しい彗星の一つとして有名なドナティ彗星 (Comet Donati) の事が記録されている。「右 酉刻以後見 西北光芒 東指長一丈余 (酉の刻に西北の方向にぼうっと光って東の方をさして尾の長さは1丈余に見えた)」とあり、1丈は10尺、1尺は1度に相当すると言われているので、大きな彗星であったことがわかる。

安政戊午仲秋聞書1 安政戊午仲秋聞書2 安政戊午仲秋聞書3 安政戊午仲秋聞書4

本朝天文志西村遠里(にしむらとおさと)著 写本2冊

天和二年(1682)、宝暦九年(1759)の記録はハレー彗星にあたる。この本は西村遠里 (1726?-1787) が古くからの天文現象を編集したものである。

本朝天文志1 本朝天文志2

『明治十五年九月二十七日彗星錦絵』

明治15年(1882)の彗星を人々がどう感じたかを表わした錦絵である。この彗星は「1882年の大彗星」と呼ばれている。

錦絵

(参考) 1882年の大彗星

Camille Flammarion著 "Astronomie populaire" に掲載された、1882年の大彗星 "La grande comète de 1882" の様子。

Astronomie populaire 1 Astronomie populaire 2 Astronomie populaire 3
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