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日食・月食について

日食月食は地球・月・太陽の空間的な幾何学的配置によって生ずる現象だから,これら3天体間の距離および大きさがわかればよい.日・月食計算を行う場合には,地球・太陽間の距離,地球の赤道半径,月の半径と地球の半径の比 k,および太陽・月の視赤経,視赤緯赤道地平視差視半径等をもちいている.しかし,これらすべての量が独立というわけではない.特に太陽の視半径には単位距離(1天文単位)における値を959.63″とし,k の値については国際天文学連合総会の勧告による k =0.2725076 を採用して,月の視半径を sin sMk sin πM として算出している(下図参照).

日食の配置図
日食の配置図

つぎにその時間経過を追うときには,太陽・月の視赤経,視赤緯の毎時の変化量を与えなければならない.これらの量は各天体の運動方程式を解くことにより得られるが,この解は各天体の重心の動きを表わしていると考えられる.月のように形状の中心と重心が一致していない場合にはそのずれを補う必要があるが,その補正値として月の視黄経に Δλ=0.50″,視黄緯に Δβ=−0.25″ をとっている.

各地予報

最後にこれら食の要素を用いて各地の食の予報値を計算するときには,地球の扁平率,さらにはその地点の標高も考慮している.また,月食の場合には,月の出入の時刻の定義が月の項(年表:太陽,月)の定義とは異なっている.月食が起こるときは望(満月)であり,月出帯食・月入帯食のように月が地平線に欠けながら出入りする現象があるために,月の上辺が地平線に一致する時刻を月の出入の時刻としているからである.

暦象年表1995より