国立天文台には秦山の自筆本といわれる『壬癸録』を含む、元禄十五年、宝永三・四・五年の七曜暦の自筆計算本や雑録である『秦山拾塵』など、秦山関係の本は計12種が所蔵されている。
谷秦山が書簡の往復で天文暦学の教えを受けた春海との直接の対話の内容を書いたもの。展示はその冒頭部分。春海の姿を「60有余才の老人で質実な感じのする人、目の前の人が、今まで大切なことを教えてくれた人なのかと驚くばかり」と感想が述べられている。
展示した『壬癸録』は写本で、富岡鉄斎の所蔵していた本である。もう1本、秦山集の中の巻三十三から四十一の中の雑書として、壬癸録が巻一から九まである。こちらは、秦山の自筆本と考えられている。秦山が自筆本に押しているマークが押されていることが理由の一つである。残念ながら傷みがはげしい。
天文学には直接関わりないが、秦山の自筆本として、提示した。雑録である。秦山自筆本に押されているマークがある。
渋川春海が自らの観測成果もふまえてとりまとめた、いわば春海の天文学・暦学の集大成ともいえる本。既に第5回で『天文瓊統』を展示しているが、今回、それとは別の写本を提示した。
渋川春海は江戸幕府初代天文方、貞享暦法を作る。第3回「長暦」、第5回「渋川春海の業績」、第15回「貞享暦と授時暦」で渋川春海について紹介している。
七曜とは太陽・月・木星・火星・土星・金星・水星の七天体のことで、二十八宿を用いて日々の位置を示している。上段には干支、二十四節気、朔弦望、七十二候などが書かれ、欄外には天気などの情報がメモされている。『元禄十五年