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1987年9月23日の金環食

毎年,地球上では,必らずどこかで日食が起きている.多い年は5回,少ない年でも2回は起きる.しかし,特定の場所で日食を見ようとすると,機会はとても少ない.

サロス周期は,223朔望月,242交点月にほぼ等しく,約6585.3日の周期で太陽と月の位置関係の等しい食が繰り返されると考えられたものである.しかし,0.3日の端数があるため,食の起きる場所は経度で120度ほどずれる.

日食は,地球と太陽の間に月が入り込んで起き,中心食と部分食にわけられる.地球上から見た時に,太陽の視直径と月の視直径がだいたい等しいので,一般に中心食は月が近ければ皆既食,遠ければ金環食になる.

食の要素と状況

今年9月23日の金環食は沖縄島で見ることができる.その時の食の状況の数値を下に抜粋した.その表を中心に今度の金環食を見てみよう.

「イ.食の要素」太陽と月の赤経が等しくなった時の赤経と赤緯が示されている.赤経,赤緯の毎時変化の数値から,太陽と月が東南の方向に移動し,月の方が太陽の約13倍の速さで動くのがわかる.また地球の自転によって,本影に入る地球上の場所も移動していく.ここで示されている視半径は,地球の中心から測られる値で,地上で見た時とは違うので,地上からの太陽,月の視半径を計算し,その大きさから皆既食,または金環食なのかがわかる.

「ロ.状況」地球上で,いつ,どこで食が見られるのかを時間と場所で示している.地図の上に,中心食の始め,子午線中心食,中心食の終りの場所を点で記し,線で結んでいくと,金環食帯の様子がつかめる.その食帯上にある場所では,金環食が見られる.沖縄島もその食帯上にある.食帯からはずれたところでは部分食となり,日本各地では,この部分食のかけ始めからかけ終りまで見られる.子午線中心食で示された場所では,南中の時に中心食が見られる.

前回,日本を食帯が通ったのは,1963年7月21日の皆既食で,千歳,網走で食が日の出前から始まり,太陽が日の出の時,欠けながら出る日出帯食であった.次回,食帯が日本を通るのは,2009年7月22日の皆既食で奄美大島で見られる.2012年5月21日に本州南岸で見られる金環食は,1958年4月19日に八丈島,名瀬で見られた金環食の3サロス周期後の食である.

金環食 9月23日,1987

イ.要素

赤経の合 9月23日 11h53m32s(中央標準時)
名称  太陽        毎時変化   月           毎時変化
赤経 11h 58m 22.44s  8.98s  11h 58m 22.44s 109.87s
赤緯 +0°10′34.6″ -58.4″  +0°28′14.8″ -902.9"
視差          8.8″         55′30.5″
視半径   15′56.2″        15′ 7.5″

ロ.状況

名称         中央標準時  経度       緯度
食の始め   9h 14.9m   84°16' E  39°39' N
中心食の始め 10h 21.2m   67°40' E  45°35' N
子午線中心食 11h 53.5m  134°47' E  18°55' N
中心食の終り 14h  1.8m  167°20' W  13° 5' S
食の終り   15h  8.0m  176° 7' E  19° 1' S

暦象年表1987より加筆、訂正