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用語解説
暦Wiki
惑星の等級
†
惑星の明るさ、最大光度 (Greatest brilliancy)
†
惑星は自ら光るのではなく、太陽の光を反射して輝いて見えます。
太陽から惑星までの距離=動径
r
が大きくなるほど暗くなります。
惑星から地球までの距離=地心距離
d
が大きくなるほど暗くなります。
太陽・惑星・地球の位置関係により輝いて見える部分が変化=
満ち欠けする
ことでも、明るさが変化します。
これを数式にすると、光度
L
=
k
/
r
2
/
d
2
のように表せます。
k
は
輝面率
(fraction illuminated) で、惑星が明るく光る部分の割合を表します。
k
= ( 1 + cos
i
) / 2。ただし、
i
は太陽-惑星-地球のなす角=
位相角
(phase angle) です。
全面が明るく見える
i
= 0°では
k
= 1、全面が暗く見える
i
= 180°では
k
= 0 となります。
金星の場合、
内合
すなわち
i
≈ 180°の前後に
d
が小さくなる影響と
k
が小さくなる影響がせめぎあって極大が生じます。
これを
金星の最大光度
と呼びます。
最大光度は等級極大の目安となります。
光度の式は
等級の式
に比べて一般的かつ簡易な量であり、完全に一致するわけではありません。
極大のころは同程度の明るさが数日間続きます。
惑星の明るさは惑星表面の状態などにも左右されてばらつきが大きく、必ずしも等級の極大の方が正確という訳ではありません。
惑星の等級 (Visual magnitude)
†
暦象年表
内容
参考
〜1985年
Müllerの式をベースにしたもの
Explanatory Supplement to the
Astronomical Almanac
1986年〜
Harrisの式をベースにしたもの
Explanatory Supplement to the Astronomical Almanac
第2版/第3版
2022年〜
Mallamaらの式
暦象年表の改訂について (2022)
惑星の等級
V
は
V
=
V
(1, 0) + 5 log
10
rd
+ Δ
m(i)
のように表せます。
V
(1, 0) は
r
= 1
au
、
d
= 1 au、
i
= 0°における等級
V
の値です。暦象年表の数値はVバンド (550nm) で観測した実視等級にあたります。
第2項は
r
や
d
が10倍になると見かけの明るさは1/100となる=
V
は5等級大きくなる、ことを表します。
第3項は位相角
i
の関数で、満ち欠けなどの影響を表しています。
必要に応じて、位相角
i
が0に近づく際に急激に明るさを増す現象,いわゆる衝効果
*1
も含みます。
惑星の地表や大気における光の反射具合は一様ではないので、
惑星の自転軸の向きや自転量
、大気の状態などによっても明るさは変化します。これらも必要に応じて含んでいます。
関連ページ
†
トピックス
金星の満ち欠けと等級
暦象年表の改訂について (2021)
暦象年表の改訂について (2022)
天象
au
英米暦
惑星
惑星/合と衝
惑星/自転軸
*1
衝のときに発見されたので衝効果という名前で呼ばれますが、合のときも
i
→0 であり、見られます。
->
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Last-modified: 2022-09-11 (日) 17:05:08