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ナクシャトラ (Nakṣatra)†
- ナクシャトラとは、黄道を13°20′ごと=27個に等分したもので二十七宿とも呼ばれます。
- Abhijita(牛宿)を含めて二十八宿とする場合もあります。
- 中国の二十八宿と同様に、月の位置を表すのに使います。
- 月は星座に対して約27.3日の周期=恒星月で公転します。概ね1日あたり1宿となります。
- 中国語に翻訳される際に二十八宿と同じ名称があてられましたが、必ずしも同じ星座を指してはいません。
- 等間隔に27分割されているのはギリシャ天文学の影響でしょう。
- インドの暦月名は、その月の満月がどのナクシャトラ近辺に来るかに由来しています。
Nakṣatra | 黄経始点 | 漢訳 | 備考 |
Aśvinī | 0°00′ | 婁宿 | |
Bharaṇī | 13°20′ | 胃宿 | |
Kṛttikā | 26°40′ | 昴宿 | |
Rohiṇī | 40°00′ | 畢宿 | |
Mṛgaśiras | 53°20′ | 觜宿 | |
Ārdrā | 66°40′ | 参宿 | |
Punarvasu | 80°00′ | 井宿 | |
Puṣya | 93°20′ | 鬼宿 | |
Āśleṣā | 106°40′ | 柳宿 | |
Maghā | 120°00′ | 星宿 | |
P.Phalgunī | 133°20′ | 張宿 | |
U.Phalgunī | 146°40′ | 翼宿 | |
Hasta | 160°00′ | 軫宿 | |
Citrā | 173°20′ | 角宿 | |
Svātī | 186°40′ | 亢宿 | |
Viśākhā | 200°00′ | 氐宿 | |
Anurādhā | 213°20′ | 房宿 | |
Jyeṣṭhā | 226°40′ | 心宿 | |
Mūla | 240°00′ | 尾宿 | |
P.Āṣāḍhā | 253°20′ | 箕宿 | |
U.Āṣāḍhā | 266°40′ | 斗宿 | |
Abhijita | | 牛宿 | ベガ(織女) |
Śravaṇa | 280°00′ | 女宿 | アルタイル(牽牛) |
Dhaniṣṭhā | 293°20′ | 虚宿 | |
Śatabhiṣaj | 306°40′ | 危宿 | |
P.Bhādrapadā | 320°00′ | 室宿 | |
U.Bhādrapadā | 333°20′ | 壁宿 | |
Revatī | 346°40′ | 奎宿 | |
二十八/二十七宿の起源?†
- 中国の二十八宿との類似性から、どこかで発生し伝播したのではないかという議論が盛んに行なわれてきました。
- たとえば、インド*1および*2、中国*3、バビロンなどを起源とする説がありますが、決着はついていないようです。
- 成立年代を考えれば中国を起源としてインドに渡った可能性は低く、独立に成立した*4という見解も有力です。
- 中国起源説では織女=女宿、牽牛=牛宿と仮定して歳差で逆転年代を推定していますが、インドでは織女=牛宿、牽牛=女宿であり、そもそも前提に問題があるようです*5。
関連ページ†
小野清, 二十八宿と獣帯との想定及び相伝に就て, 天文月報 第10巻第6号 ,(1917).->
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小野清, 二十八宿と獣帯との想定及び相伝に就て, 天文月報 第10巻第7号 , (1917).->
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新城新蔵, 二十八宿の伝来に就て, 天文月報 第11巻第2号 , (1918).->
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大橋由紀夫, インドの伝統天文学-とくに観測天文学史について(I), 天文月報 第91巻第04号 , (1998).->
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善波 周, 印度の牽牛・織女, 印度學佛教學研究 2(1) , (1953).->
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Last-modified: 2017-10-12 (木) 14:46:09