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月の満ち欠け(朔望)

図1.朔望のしくみ
図1:朔望のしくみ
図2.朔望周期
図2.朔望周期

月は地球に最も近い天体で,月見や詩など古(いにしえ)より親しまれてきた存在である.最近でも月周回衛星「かぐや」(JAXAのページへ) が月の精密な地形や月裏側の重力場を明らかにするなど,話題に事欠かない.

さて,暦の上で月といえば何といっても月の満ち欠け(朔望)であろう.朔望とは月の公転によって地球から見た太陽と月の位置関係が変化することでおこる現象である(図1).洋の東西を問わず,日に日に月が姿を変えていくのを数えることで暦が誕生し,また,1カ月や1週間という単位もこれに由来すると言われている.

月は平均27.32日で地球の周りを公転するが,朔望が一巡するのには平均29.53日かかる.これは月が公転する間にも地球が太陽の周りを公転するためで,地球が移動した分だけ余計に回らないといけないからである(図2).地球や月の楕円運動により公転の速さは変化するから,朔望周期の長さは季節や月の軌道の向きに依存し,だいたい29.3日から29.8日の間で変動する.

表1:望の時刻 (2010年)
中央標準時   世界時
010104h13m 1231
013015h18m 0130
030101h38m 0228
033011h25m 0330

日本でも明治以前に用いられていた太陰太陽暦では朔(新月) を含む日を1日としていたから,15日が十五夜と呼ばれてほぼ満月,1カ月は29日あるいは30日となり,それぞれ小の月,大の月と呼ばれていた.

一方,現行の太陽暦では朔望とは別に1カ月の長さが決まっており,2月を除いてどの月も29.8日より長いから,望(満月) は必ず1回,場合によっては2 回ありうること,2月は望がないケースがありうること,がわかる.1月と3月に望が2回,2月に望のない2010年はまさにこれらすべてがおこる年なのである(表1).ちなみにこの状況はかなり微妙なもので,望の時刻を世界時で表現する(表値から9時間引けばよい) とこのようにはならない.逆に1999年は世界時でこのような状況になるが,中央標準時ではそうならなかった(表2).

表2:望の時刻 (1999年)
中央標準時   世界時
010211h50m 0102
020101h07m 0131
030215h58m 0302
040107h49m 0331

では前回・次回はということになるが,この点についても古からの知識が役に立つ.太陰太陽暦では19年に7回閏月をいれることで,朔望月と季節がずれないように調整していた.すなわち,19太陽年≒235(19×12+7)朔望月という関係である.これは厳密に成立する関係ではないし,うるう年の入り方にも依存するので一概には言えないが,19年後には朔望の日付がだいたい元に戻ることになる.結論から言えば,前回このような状況になったのは1991年,次回は2018年であり,前者は2010年の19年前,後者は1999年の19年後という関係になっている.

ところで,1カ月の間に2回満月がある場合,2回目の満月をブルームーンと呼ぶことがある.ブルームーンというと”once in a blue moon”(珍しい,稀なことの例え) という表現を思いつくが,残念ながらこの”blue moon” は2回目の満月のことではない.米国の雑誌”SKY&TELESCOPE”に詳しく紹介されているので,詳細はリンク先の記事(英文)を参照されたい.


暦象年表2010より


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