暦Wiki
二十四節気は複雑に変化している†
- たとえば前年の春分からその年の春分までのように、前年の二十四節気からのその年の二十四節気までの間隔を調べてみましょう。
前年の二十四節気からの経過時間を変動させる要素†
惑星の影響†
- 地球の公転運動は惑星からの引力によって影響を受けます。
- 影響の周期は惑星の会合周期や公転周期、度合いは惑星の質量・軌道長半径等に依存してマチマチです。
- とくに地球に近い金星、質量の大きい木星の影響が強いです。
- 前年の二十四節気からの経過時間に与える影響は、これを1年で区切ることになりますから、さらに複雑になります。
- 地球と金星の会合周期は約584日、±7分ほどの複雑な影響を与えます。
- 地球と木星の会合周期は約400日と1年に近いため、プラスとマイナスがキャンセルして±3分程度の影響と、かなり小さくなります。
- 地球と火星の会合周期は約780日、±1分強ほどの影響を与えます。
月の影響†
- 月の影響はかなり複雑ですが、地球−月重心の運動を考えればこの影響を取り除けます。
- 地球−月重心は地球内部にありますが、それでも月の満ち欠けの周期で±2-3分程度の影響を与えます。
- 前年と比べると、1太陽年−朔望月×12〜約11日〜約130°ほど月の相対位置が移動します。このため、前年との差に与える影響は最大で(1-cos(130°))倍に増幅され、±5分程度となります。
- 月の引力は地球を重心に近づける方向に働きますから、むしろ重心の効果を打ち消す働きをします。
章動の影響†
- 二十四節気は地球の自転軸の向きと太陽の位置関係で決まりますから、地球の自転軸の短期的な変動成分である章動も影響します。
- 黄経の章動の主要項は周期18.6年、振幅約17″ですので、おもに周期18.6年で±6分ほどの影響を与えます。
- ただし、前年からの変動量はたかだか6″程度ですので、前年との差に与える影響は±2.4分ほどです。
楕円軌道の影響†
- 1太陽年は歳差による自転軸の変動分だけ1周に満たないですので、それが楕円軌道のどこにあたるかによって変化します。
- 1恒星年でも近日点の移動分だけ近日点に対しては1周に満たないですので、それが楕円軌道のどこにあたるかによって変化します。
- 前者が±40秒ほど、後者が±10秒ほど、まとめて±50秒ほどの影響を1年周期で与えます。
- 近日点に近い冬至は50秒ほど1太陽年より長くなり、遠日点に近い夏至は50秒ほど短くなります。また、中間にあたる春分は10秒ほど長く、秋分は10秒ほど短くなります。
- どの節気の間隔が長い・短いかは歳差と近日点の移動により約21,000年周期で変動します。
- ただし、これには軌道の離心率の変動も影響するため、単純な周期変動にはなりません。
- 図中では考慮しておりませんが、地球の自転変動も考慮すれば、さらに複雑となるでしょう。
長期にわたる変動†
- 400年間の二至二分の変動パターンはどれも似通っていますが、重ねると、じわじわずれていく様子が見てとれます。
- 惑星・月・章動の影響は大きなものですが、それぞれの周期で±に変動し、打ち消しあってしまいます。
- これに対し、楕円軌道の影響は小さなものですが、変動周期が約21,000年と長いため、2000年程度なら一方的に働く効果を持ちます。
- 冬至や夏至の場合、平均=1太陽年から50秒ほどずれていますから、400年も経つと50秒×400年〜0.23日ほどのずれが生じます。
- さらに、暦面上の時刻の基準となるのは、1太陽年ではなくグレゴリオ暦の1年です。
- グレゴリオ暦の1年は近年では1太陽年より27秒ほど長く、二至二分でそれに最も近いのは春分の間隔です。このため、春分の時刻は最も長期的変動の小さい状態にあります。
- 逆に、最も離れているのは夏至の間隔で、夏至の時刻は最も長期的変動が大きい状態にあります。
- 春分・夏至・秋分の間隔はどれもグレゴリオ暦の1年より短く、長期的には次第に時刻が早くなっていくフェーズにあります。
- 冬至の間隔は春分に次いで差が小さいものの、グレゴリオ暦の1年より長いため、長期的には次第に時刻が遅くなっていくフェーズにあります。
関連ページ†
Last-modified: 2022-07-08 (金) 17:39:33