暦Wiki
基本星表 (Fundamental Catalog)†
- 太陽・月・惑星といった天体の位置や運動を調べるには、基準となるものが必要です。
- 恒星は遠くにあってあまり動かないので、二十八宿や黄道十二宮のように、古くからその基準として使われてきました。
- やがて恒星の位置の変動から歳差が知られるようになり、近代には章動・光行差・視差、さらには恒星自身の運動である固有運動なども発見されました。
- 恒星の位置や固有運動などをまとめた星表の中でも、極めて精度の高いものを基本星表と呼びます。
国際的な基本星表†
- 天体位置や時刻の基準とするには、国際的に共通な基本星表を用いる必要があります。
- Astronomical Papers prepared for the use of the American Ephemeris and Nautical Almanac, Vol. X Part I
- Dritter Fundamentalkatalog des Berliner Astronomischen Jahrbuchs (FK3)
- 1935年にIAUで採択、1940年ごろから採用されたドイツの第3基本星表。B1950.0分点を基準とした1535星のデータからなります (IAU )。
- Fourth Fundamental Catalog (FK4)
- 1961年にIAUで採択、1964年ごろから採用されたドイツの第4基本星表。B1950.0分点を基準とした1535星のデータからなります (IAU )。
- Fifth Fundamental Catalog (FK5)
銀河系外電波天体を基準とする時代へ†
- 1980年代ごろから、VLBIにより銀河系の外にある電波源の位置を精密に観測できるようになりました。
- これらは恒星よりもはるか遠くにありほぼ静止しているように見えますから、より正確な座標系を構築することができます。
- International Celestial Reference System (ICRS) / International Celestial Reference Frame (ICRF)
- 1997年のIAU勧告で1988年よりICRS/ICRFが採用され、FK5は基本星表としての役割を終えました (IAU )。
- ICRSの原点は太陽系重心で、J2000.0における平均赤道座標系とほぼ一致し、遠方の天体に対して回転しないような座標系と定義されました。
- ICRSを具現化するのは銀河系外電波天体の基本星表ICRFで、その後も2010年よりICRF2、2019年よりICRF3へとアップデートされています (IERS )。
- Hipparcos Celestial Reference Frame (HCRF)
- 2000年のIAU勧告では、ヒッパルコス星表から多重星とみられるものを除いたHCRFを、光学波長でICRSを実現する基本星表と位置づけました (IAU )。
- Gaia Celestial Reference Frame (Gaia-CRF3)
- ヒッパルコス衛星の後継機にあたるガイア衛星は、光学的には暗い、ICRFを構成するような銀河系外の恒星状天体*1さえもとらえる能力を持っており、それらを軸として座標系をICRFにそろえることができます。Gaia-CRF3は、Gaia-DR3からそのような銀河系外の恒星状天体を抜き出したものです (Gaia-DR3 )。
- 2021年のIAU勧告では、2022年より、HCRFに変えてGaia-CRF3を、光学波長でICRSを実現する基本星表と位置づけました (IAU )。
関連ページ†
Last-modified: 2022-04-12 (火) 21:34:30