暦Wiki
国際協力†
Congrès international des éphémérides astronomiques 1911†
- 1911年10月パリで開かれた天体暦編纂の協力に関する国際会議
- 各国バラバラに暦を作るのは無駄が多いので、作業を分担しようということになりました*1。
- 1916年の米国暦によれば、
- 月・火星・木星・土星・天王星・海王星などはイギリスから。
- 水星・土星の環・恒星などはドイツから。
- 天象・衛星・周極星などはフランスから。
- 恒星の一部はスペイン・イタリアのデータも利用しているようです。
- フランスは協力をしつつも、太陽・月・惑星については独自の暦を使い続けています。
- 作業を分担するには子午線(時刻)、諸定数、精度などもそろえる必要があります。
- 1916年にドイツ・フランスなど各国の暦がグリニジ子午線を基準とするようになったのはこのためです。
#なお、1916年版が出たのは1914年。第一次世界大戦の勃発した年です。
IAUにおける国際協力†
- Commission 4 Ephemerides (1919-2015)
- 1919年にIAU設立。暦はその第4委員会で扱われることになりました。
- 1932, 1935, 1938 恒星暦 (Apparent Places of Fundamental Stars; APFS) 編纂の協力体制構築。
- 各国バラバラに恒星の暦を作るのは無駄が多いので、ドイツの第3基本星表FK3を国際的な基本星表とし、それをもとに算出した恒星の平位と視位を世界共通で用いることにしました。これが恒星暦APFSです。
- 計算は各国 (最終的には英米仏独西ソの6か国) で分担、イギリスから出版することになりました。
- 1952, 1958 暦表時を採用。
- 1955 国際天体暦 (International Fundamental Astronomical Ephemeris; IFAE) の可能性について議論。
- 採算がとれる見込みがない、他国で出版されると研究者にとって入手しづらくなる、各国の協力が必要となり柔軟性を失う、などの理由で実現はしませんでした。
- 代わりに1機関で作成したプルーフ画像を用いて写真製版する手法が提案され、実際に1962年から1979年までの天体位置表ではイギリスから提供されたプルーフ画像が採用されています。
- ほかにも、恒星暦APFSの出版をドイツの担当に変更、英米の暦共同出版などが決まりました。
- 1964 IAU1964天文定数系を採用*2。
- 1976 1984年暦からIAU1976天文定数系/歳差理論を採用*3。
- 1976, 1979, 1991, 2006 力学時を採用。
- 1982 IAU1980章動理論を採用。
- 1991, 2000 座標時を採用。
- 1997 1998年からICRS/ICRFを採用。
- 2000 2003年からIAU2000章動理論を採用。
- 2006 2009年からIAU2006歳差章動理論を採用。
- 2009, 2012 IAU2009天文定数系を採用 (NSFA )。
- Commission X2 Solar System Ephemerides (2015-)
- IAUの組織改正により、Commission X2となりました。
関連ページ†
Congrès international des éphémérides astronomiques , Annales du Bureau des Longitudes, 9, (1913).->
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Kulikov, K.A., The System of Astronomical Constants , Soviet Astronomy, 9, (1965).->
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Lederle, T., The IAU (1976) System of Astronomical Constants , Astronomische Gesellschaft, Mitteilungen, 48, (1980).->
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Last-modified: 2019-06-27 (木) 21:57:07