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月のひょう動 (libration of the Moon)†
- 月のひょう動 (秤動)
- 一般に、ひょう動とは、ある安定な状態の近傍で起こる微小な振動を指します。
- 英語のlibrationは天秤がバランスをとる様子に由来します。星座のLibraはてんびん座と呼ばれていますね。
- これを平山清次らが秤動と訳し、「ひょうどう」と読んでいたのですが、後に「ひょう」と読むのは誤りであることが判明しました (天文月報 第11巻第9号 )。
- このため、秤動と書いて「ひょうどう」と読むのは慣用読みとされ、文部省学術用語集においては「ひょう動」と表記されています。
光学ひょう動 (optical libration)†
- 光学ひょう動は月の公転などに伴って向きが変化する見かけの現象で、幾何ひょう動 (geometrical libration) ともいいます。
- 月の公転に伴うひょう動 (optical libration in longitude / latitude)
- 地表の観測者と地心の視差によるひょう動 (diurnal libration)
- 地球の自転に伴って観測者の位置が変化することにより、月の向く方向と観測者の方向にずれが生じます。このずれが変動する周期は太陰日、幅は最大約1°です。
物理ひょう動 (physical libration)†
- 物理ひょう動は見かけ上ではなく実際に月の自転軸が変動する現象を指します。
- ただし、月の自転軸はカッシニ状態という平衡状態からわずかに変動する程度であり、物理ひょう動は光学ひょう動に比べるとずっと小さな変動です。
- 地球・太陽・惑星の及ぼす外力により月の自転運動が変動する現象を強制ひょう動 (forced libration)、月自身の持つ自然な回転モードを自由ひょう動 (free libration) といいます。
関連ページ†
Last-modified: 2022-11-21 (月) 22:22:01