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寛政暦 (かんせいれき) / 寛政丁巳暦†
- 暦法:暦法新書、寛政暦書、寛政暦書続録、寛政暦五星法続録
- 選者:高橋至時、間重富
- 期間:寛政十年(1798)〜天保十四年(1843)の46年間。前は宝暦暦、次は天保暦。
- 定数:定朔、平気、破章法、歳差。
- 1恒星年=365.242347071日(歳周)×(360+0.0141666667(歳差))÷360=365.25672日
- 1太陽年=365.242347071日(歳周)
- 1恒星月=360÷ 13.1763981114(太陰毎日平行) = 27.321579日
- 1朔望月=360÷(13.1763981114(太陰毎日平行)−0.9856469352(太陽毎日平行))= 29.530584日
- 1近点月=360÷(13.1763981114(太陰毎日平行)−0.1114147178(最高毎日平行))= 27.554570日
- 1交点月=360÷(13.1763981114(太陰毎日平行)+0.0529506561(正交毎日平行))= 27.212224日
- 厳密には、各定数は消長法により変動するので一定にはなりません。
- 特徴
寛政暦の精度†
- 月行遅疾のような単純化 → 西洋天文学の導入により、ようやく実際の月の運動と暦が比較できるレベルに達しました。
- 文化十年癸酉正月九日丁丑=1813年02月09日、畢宿五=アルデバラン食 (寛政暦書巻35)

- 現代値は浅草天文台での値
潜入 | 実測 | 寛政暦 | 現代値 |
時刻 | 22時50分36秒 | 22時56分55秒 | 22時49分13秒 |
位置 | 左上暗縁部 | 126°53′08″ | 127.1° |
高度 | 33°37′05″ | 32°25′37″ | 34.0° |
出現 | 実測 | 寛政暦 | 現代値 |
時刻 | 23時48分55秒 | 23時55分13秒 | 23時47分18秒 |
位置 | 下方 | 48分38秒 | 1.4° |
高度 | 22°29′ | 21°02′38″ | 22.6° |
- 天保十年八月金環日食 (1839年09月08日) (寛政暦書巻34、霊憲候簿巻10)
- 2012年金環日食の際に、前回東京23区内で見られた金環日食といわれていたものです。
- 寛政暦では食の最大は日の出前、新巧暦書による計算では食の最大は日の出後という予報になりました。
- 景佑は息子の敬直を築地海岸に派遣しつつ、自らも小石川三百坂下の自宅で観測、日の出後に食の最大となることを確かめました。

- 現代値は小石川三百坂下での値
現象 | 実測 | 寛政暦 | 現代値 |
日出 | 5時39分16秒 | 5時42分24秒 | 5時39分26秒 |
食甚 | 5時50分12秒 | 日出前 | 5時50分19秒 |
復円 | 6時58分45秒 | 6時43分19秒 | 6時58分41秒 |
太陽・月の位置精度†
- 上記のような観測から、寛政暦の月の位置精度は時間にして10分弱、角度にして0.1°弱程度と推定できます。
- 実際に、寛政暦・天保暦・時憲暦の太陽・月の黄経を現代値と比較すると、以下の図のようになります。
- 寛政暦と時憲暦は同程度、天保暦でさらに改善されていることがわかります。

関連ページ†
- 参考文献
- 内田正男, 日本暦日原典, 雄山閣, (1975).