暦Wiki
日食の種類†
どこから眺めているか=月の影†
- 日食の種類はどこから月と太陽を眺めているかによって決まります。
- Dさんから見ると、太陽と月はまったく重ならず、離れて見えます。
- 太陽と月をクロスするように結んだ線上にいるAさんから見ると、太陽と月がくっついて見えます。
- Aさんよりも内側に入ると、月が太陽の一部をさえぎるようになります。
- これが部分食であり、Aさんの位置より内側の領域を半影 (penumbra) と呼びます。
- 太陽と月を外側から接するように結んだ線上にいるBさんから見ると、月が太陽を完全に覆い隠すように見えます。
- Bさんより内側でも同様です。
- これが皆既食であり、Bさんの位置より内側の領域を本影 (umbra) と呼びます。
- 本影の線を延長した先にいるCさんから見ると、太陽は完全には隠れず、月が太陽の内側から接するように見えます。
- Cさんよりも内側に入ると、太陽がリング状に残って見えるようになります。
- これが金環食であり、Cさんの位置より内側の領域を擬本影 (antumbra) と呼びます。
日食の種類†
- 月は地球の周りを楕円運動しますので地球と月の距離は絶えず変化しています。
- 月が地球に近いと、本影が地球まで届き、本影の中では皆既食、半影の中では部分食が見られます。これが皆既日食(total)です。
- 月が地球から遠いと、本影は地球まで届かず、本影の延長上では金環食、半影の中では部分食が見られます。これが金環日食(annular)です。
- 月の影が南北にずれると、半影しか地球に届かなくなり、部分食しか見られないことになります。これが部分日食(partial)です。
- 金環食と皆既食どちらも見られるというのは、月の400倍大きな太陽が月の400倍遠くにあるという偶然によるものです。
- 月がもっと大きい、あるいはもっと近くにあると皆既のみとなりますし、月がもっと小さい、あるいはもっと遠くにあると金環のみとなります。
- きわどいケースでは地球上の位置でも金環と皆既が入れ替わることもあり、これを金環皆既日食(annular-total/hybrid)と呼びます。
日食の種類と月縁†
- 月は完全な球体ではなく、局所的にはかなりデコボコしています。
- このため、太陽と月の大きさがほぼ同じ場合や限界線の付近では、山の部分では太陽が完全に隠れるものの谷の部分では太陽が見えている状態になることがあります。
- 谷の部分だけところどころ光が残り、あたかも数珠のように見えるので、ベイリーの数珠(ビーズ)と呼ばれます。
- この状況は山で判断すれば皆既、谷で判断すれば金環であり、悩ましいところです。
- 現在ではこれを月縁の山と谷を平均した値である平均月縁によって判断しています。
- したがって、皆既食として分類されているものでも、谷から光が漏れる場合があります。
- 完全に光がさえぎられる時刻は「皆既の初め」より数秒遅く、「皆既の終り」よりも数秒早くなります。また、限界線もより狭い範囲となります。
- 皆既の始めと終りにおける月と太陽の接点付近の月縁形状がわかれば、この時刻の差を求めることができます。さらに、月周回衛星「かぐや(SELENE)」の観測で得られた詳細な月縁情報を使えば、時刻の差をより精密に求めることも可能です (相馬氏のサイト)。
- 金環食の場合は逆になりますが、もともと光が漏れていますので、それほど気にはならないでしょう。
- 1982年以前は皆既食の場合にだけより小さな値(0.272274倍)を用いていましたが、かえって混乱を招くということで一本化されたとのことです。
- これにより以前とは分類が異なる日食もあります。たとえば、1948年5月9日の日食は以前は金環食と分類されていましたが、現在では金環皆既食と分類されます。
関連ページ†
Last-modified: 2020-05-27 (水) 20:38:02